業務改善に必要になるプロセス指向
こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。
仕事において、業務の目的に沿って取り組むだけでなく、プロセス改善のために全体を俯瞰する視点も重要です。この記事では、業務におけるプロセス指向について解説します。
ゴール指向
プロセス指向について解説する前に、対比としてゴール指向について確認します。ゴール指向とは、担当する業務の目的やゴールの達成に向けて取り組む際の考え方です。例えば、ウェブエンジニアが機能の実現のためにプログラムの実装を行うことや、動作の確認のためにテストを実施するようなときです。
プロセス指向
プロセス指向とは、業務のゴールとは別に、プロセスの改善点を発見するための視点です。例えば、ウェブエンジニアが全体的な設計の中で改善が必要な部分を発見したり、手動テストの中で自動化が可能な部分を発見するときです。
プロセス指向には、開発ツールの細かな使い方の習得など小さなものから、複数の部門をまたぐ業務プロセスの改善のような大きなものまで様々にあります。
プロセス指向に必要な要素
プロセス指向で考えるために必要な要素として以下のようなものがあります。
- メタ認知
- パターン認識
- 知識
1. メタ認知
メタ認知とは、自分自身の思考や学習プロセスを認識し、管理する能力のことです。無意識にメタ認知を発揮できる場合、自分の作業をゴール指向とプロセス指向で同時に捉えることができます。このため、没頭して作業しながらも、同時に俯瞰的な視点から改善点が浮かびやすくなります。
2. パターン認識
パターン認識とは、繰り返し現れる特徴や規則性を見つけ出す能力を指します。これまでの経験を通じ、同様の課題や改善点を無意識に把握し、自然とパターン認識が働いていることがあります。そのため、過去の経験と照らし合わせて「これは改善できそうだ」と判断しやすくなります。
過去の経験を高い抽象度で概念化できていると、より広範にパターンとして認識しやすくなります。
3. 知識
自分が取り組む業務に対する知識が深まるほど、改善が可能な場所を発見しやすくなります。知識には、専門書やウェブの情報で得られるようなものもあれば、経験を通して得られる暗黙的なものもあります。
プロセス指向の活用パターン
プロセス指向はゴール指向で取り組んでいる最中に発揮することもあれば、意図的にプロセス指向で取り組むこともあります。大きく分けると3種類に分類されます。
- リアルタイム型のプロセス指向
- ふりかえり型のプロセス指向
- 明示型のプロセス指向
リアルタイム型のプロセス指向
リアルタイム型のプロセス指向は、ゴール指向の業務を行っている最中にプロセス指向の視点が働き、改善対象を発見するケースです。
過去の経験を通して前述したプロセス指向に必要な要素が強化されるほど、リアルタイム型が発動しやすくなります。
ふりかえり型のプロセス指向
ふりかえり型のプロセス指向は、意図的に用意された個人やチームによるふりかえりの機会に業務の改善点を見直す中で改善対象を発見するケースです。
チームのふりかえりは、プロセス指向が強い人の考えを共有することができるため、チーム全体のプロセス指向の強化にも役立ちます。
明示型のプロセス指向
明示型のプロセス指向は、業務改善が課題になっていて、意図的に取り組むケースです。
注意点
ゴール指向とプロセス指向の共存
プロセス指向で改善が可能な対象を発見し、改善することは達成感を得やすい活動です。また、改善可能な課題を見つけると、放置することに不安を感じやすくなります。一方で、ゴール指向で取り組むことが必要な業務が多くある場合、プロセス指向で発見した課題の解決ばかりに時間を使いすぎると短期的な成果が出せなくなってしまいます。
そのため、発見した課題に取り組む場合は、短期成果とのバランスを考慮し、ROIを検討した上で、今取り組むべき重要な対象に絞って対応するか、短時間で完了する軽微な改善に留めるのがよいでしょう。
プロセス指向と説得責任
プロセス指向で発見した課題には自分の一存で解決できるものもあれば、他者を巻き込まないと解決できないものもあります。自分の提案に対して協力を得られる場合もあれば、拒否されることもあります。改善は変化であり、人は変化が苦手です。前向きに変化を促すには工夫が必要です。変化に他者を巻き込む方法については、書籍『FEARLESS CHANGE アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』がおすすめです。
プロセス指向の停滞要因
眼の前の業務で手一杯な状況が継続すると、プロセス指向を養う余力がなくなります。一方で、業務が手一杯になるような状況のチームほどプロセス指向が必要です。マネージャーやシニアなメンバーで協力し、チームに余力を作り出し、その後は定期的なふりかえりをもとに業務を改善する余力を普段の活動に組み込むことができると関係者のプロセス指向を強化しやすくなります。